こだわりの強さについて考える
お子様のこだわりが強く、どう接したらよいのか分からなくなる時はありませんか?
例えば…
- 特定の物事やルールに強いこだわりがある
- 好き嫌いが極端
- 自分の関心ややり方・ぺースを維持することを最優先
- 同じ行動を延々と繰り返す
- 状況に合わせて柔軟に変更することが出来ない
- 興味のないことはほとんど手をつけない
- 一番になれないとパニックになり相手とトラブルを起こしてしまう
こういったこだわり感を強く持つお子様は一定数います。
さらに、これらのこだわりの強さが先天的要素となっている自閉症であれば、特性を完全になくすのは困難だと言われています。
では、どのようにして、関わっていき、お子様にとって・周囲にとってより良い生活を送れるのでしょうか。
こだわりとは
具体的に、こだわり行動があるお子様はどういった行動をするのでしょうか。
- おもちゃに夢中になりずっと遊んでいる
- タイヤや回る物をずっと見ている
- ずっと図鑑を読んだまま呼びかけても反応しない
などなど、こだわり行動には、さまざまな行動やレベルがあります。
周りからすれば、これらのこだわり行動で困り感を得るケースが多いかと思いますが、子供からしたら、過剰情報の適正化を図る「自己調整行動」であったりもします。
関わり方
さて、こだわりについての様々な視点があることを述べてきましたが、実際にどのように関わっていくのが良いのか、という点についての話です。
前述にあったように、「こだわり」という分野において過剰な「こだわり」を示す子の中には、過剰情報の適正化を図る「自己調整行動」をしているケースもあります。
この「自己調整行動」を踏まえたうえでどう接していくかお伝えできればと思います。
①子供の行動に参加をする
例えば、子どもが玩具に夢中になっていれば、隣で玩具で遊んでみたり、図鑑に夢中になっているのであれば、隣で図鑑を読んでみたりしてみましょう。
その際に大人がわざと、「わからない」ふりをしたり、リアクションを取ることで、子どもから「こうやるんだよ」などの自発的なアプローチとして近づいてくることもあります。
また注意したいのは、近づきすぎたり「なにやってるの~?」や「入れて~」とアピールをしすぎるなど、積極的に関わることは逆効果になる可能性があります。
大切なのは、「息を合わせる」であったり、子どもと同じ目線の高さで同じことを同じようにやってみるなどの世界線を共有させてもらうことです。
②代替え品を与える
こだわり行動が自身の感覚困難を和らげるための自己調整行動だとすれば、周りに迷惑をかけないような行動として”代替え”となるものを伝えることが大事です。
例えば、じっとしていられない・何かに触っていたい・何かを噛んでいたい
→お気に入りの人形を持たせる・人工芝等を机の裏に貼って触らせる、ストローを噛んでもらうなどの対応が考えられます。
ただ、子どもによっては好みが分かれることがあります。なので、どんな感覚を欲していて、何が落ち着くのかは、子どもと相談をしたり、普段の様子から汲み取りたいものですね。
③切り替えるタイミングを伝える
こだわりのある子にとって、活動を途中で終わらせるという我慢は、相当なエネルギーを必要とします。
なので、力が身についていない場合、癇癪等を起こすこともあるでしょう。
「〇〇時になったら終わり」というタイミングは、力のついていない子にとって途中で活動を終わらせなければいけないタイミングかもしれません。
「ここまで読んだら終える」「ここまで言ったら片付ける」等の活動の節目や区切りの良い所をお伝えし、見通しを持つことでスムーズな切り替えが増えていきます。
こだわりの強さがもたらす影響
”こだわり”の強さを考えた時に、人は無意識にマイナスな面を考えてしまうことが多いかと思います。
しかし、”こだわり”にも、良い働きをする場面があり、こだわりを生かした活動をすることで、お子様の将来や周囲にとってより良い生活を送れるきっかけを見つけ出すことができます。
こだわりの長所
- こだわることで質を上げていく
- 自分なりの方法を用いた独自性を開発しやすい
- 熱量を出すことできる
「こだわり」というのは、言い換えれば、「信念を貫く」ことであったり、「妥協をしない」「筋を通す」「心に決めたことを他者からの圧力に負けずに押し通すこと」であったりします。
場面だけを切り取ることでどうしても「執念深い」「固執している」「切り替えが出来ない」と思われがちではありますが、見る側の視点を変えることで、その子のチャンスや可能性が広がるきっかけに出会えるかもしれません。
こだわりがプラスになる場面
さあ、これらの「こだわり」がプラスに働く場面はどのような場所にあるのでしょうか。
- 反復練習や作業が必要となる場面
- 熱量が求められる場面
- やりきることが必要となる場面
意外と社会に出ると、基本的で、必要不可欠な場面であったりしますよね。
こだわりの短所
- 柔軟性が欠けており、臨機応変に対応することが難しい
- 自身のこだわりを押し付けてしまうことがある
- 変化に対応しにくい
こだわりがヒートアップしていくと、「変化」に弱く、柔軟に物事を考えることが難しくなることがあります。
また、自分のこだわりややり方を「こうだからこう」と相手に押し付けるようなことに繋がるケースも少なくはありません。
こだわりがマイナスになる場面
- チームワークにいてコミュニケーションが求められる場面
- 柔軟性が求められる場面
- 他者への押し付けが生まれる場面
これらの場面は、日常生活や社会生活の中で山ほどある場面かと思います。
そのため、避けられない場面でもありますが、周囲の大人が「こういう場面が苦手」などと理解をしてあげることで、お子様にとっての適切な支援をすることが出来るのではないでしょうか。
まとめ
お子様の「こだわり」について、少し理解が深まったでしょうか。
プラス面を知ることで「こだわり」に対しての受容性を持ち、マイナス面を知ることでどのような関わり方をしていくことが将来のお子様にとってより良い生活に繋がっていくのか考えるきっかけとなればと思います。
また、「切り替え」についてブログを投稿していますので、併せてご覧ください。