強迫性障害(OCD)に囚われ続けた学生時代と、私を救ったデジタルとの出会い
今日は学生時代に強迫性障害(OCD)に悩んだAさんの体験をケースとして紹介します。
強迫性障害が顕著に出た学生時代

私は強迫性障害(OCD)を抱えています。「抱えていた」と過去形にしたいところですが、今も完全になくなったわけではありません。
症状が顕著に現れ始めたのは高校三年生の時でした。主な症状は、文字を何度も書き直してしまう「不完全恐怖」と「確認行為」です。
特に苦しめられたのが、模試や入試の答案用紙に書く「自分の名前」でした。納得がいくまで書いては消し、書いては消しを繰り返す。酷い時には、消しゴムで削れた名前欄から下の机が透けて見えるほどでした。
よく「一旦別のことをして気分転換をする」という対処法を聞きますが、制限時間のある試験中にそんな余裕はありません。名前の記入だけで10分〜15分も格闘し、その後の解答欄でも同じ泥沼にはまります。マークシートの塗りつぶしにも不完全さを感じ、塗っては消しを繰り返す日々。本来の実力など出せるはずもありませんでした。
この症状は新卒の就職活動でも私を苦しめました。履歴書を書く際も名前でつまずき、何枚も何枚も書き直しました。外出時もドアの鍵を100回近く確認するため、周囲から見れば完全に不審者だったと思います。
不可能だった対策
世間ではよく、次のような対策が推奨されます。
- あらかじめ時間を制限する
- 意識を別のことにそらす
- 不安を受け流す
しかし、当事者かつ学生だった当時の私には不可能でした。テストで名前を書かないやカギを閉めないなど、目の前の作業を避けるわけにはいかない状況でしたし、何よりこれが自身の「特性(疾患)」だと知らなかったからです。
大人になってから身につけた対応

そんな私に転機が訪れたのは、大人になってからでした。
生活の中心が「手書き」から「パソコン」へシフトしたことで、物理的に症状が出る機会が激減したのです。同時に自分の特性を正しく理解できたことで、時間のやりくりや意識をそらすといった対策も、少しずつ講じられるようになりました。
特にパソコンとの出会いは、私の人生を大きく変えました。現在はプログラマーとして働いています。
細かい部分にまで徹底的に注意が向くOCDの特性は、幸いにもバグの少ないコードを書く強みへと変わりました。そして何より、プログラムを実行可能にする「コンパイル」という工程が、最後に太鼓判を押してくれる——。そのシステムが、私の不完全恐怖を優しく打ち消してくれました。
かつて自分を苦しめたこだわりは、環境とツールが変わったことで、今では自分を支える技術となっています。
