感覚遊びってどんな遊び?
~いろいろな感覚について~
夏の終わりが近づき、もうすぐ秋になりますね。
半袖から長袖に変わる衣替えの時期ももうすぐそこになりました。
半袖の時には気にならなかった生地のそわそわした感覚、苦手なお子様も多いのではないでしょうか。
今回はそんな「感覚」についてのお話をしたいと思います。
感覚とは
わたしたちが身体の外から受け取ることのできる刺激を感覚と呼びます。視覚や嗅覚、聴覚など、よく耳にするものも多いと思います。
感覚には、大きく分けて「特殊感覚」「体性感覚」「内臓感覚」の3種類あります。
それぞれの感覚がどんなものなのかわからない時期にいろいろな感覚を知る手段の一つとして感覚遊びがあります。
ではそれぞれどんな感覚なのか、感覚遊びとは何なのか、説明していきたいと思います。
1.特殊感覚
特殊感覚の中には「視覚」「嗅覚」「聴覚」「味覚」「平衡感覚(バランス感覚)」の5つがあります。視覚検査や聴覚検査など、特殊感覚にはよく聞く感覚がたくさんありますね!
2.体性感覚
体性感覚は「表在感覚」と「深部感覚」に分かれます。こちらの言葉は聞きなじみがない方も多いのではないでしょうか。
・表在感覚とは
皮膚感覚とも言われることがあり、「触覚」「圧覚」「痛覚」「温冷覚」などの種類があり、皮膚に直接触れるとわかる感覚のことをいいます。
・深部感覚とは
運動感覚や位置感覚・振動覚などの種類があります。
運動感覚は言葉ではよく耳にすることがあるかと思いますが、どんなものかご存じでしょうか。
実際の運動感覚とは運動神経が関係しており、「動け」と命令を伝える神経のことで、運動の得意不得意に直接関係はしていないんです!
また、振動覚とは「動いてるな」と感じること、位置感覚とは「今、腕が机の上にある」など、身体がどこにあるのかわかる感覚のことを言います。
3.内臓感覚
内臓感覚は言葉の通り、内臓の感覚です。この感覚は外からの刺激ではなく、外から取り入れたものにより内部の刺激を感じるものとなっています。少しわかりにくいのですが、頭痛や腹痛、お腹が空いたなど、身体の内部の何らかの感覚のことを言います。
この3つの感覚のうち、特殊感覚が感覚の土台となっており、土台の感覚がないと体性感覚がどんなものなのかがわからない状態になります。そのため、感覚を自分で刺激して遊ぶ「感覚遊び」をして、土台を育てようとします。この感覚遊びについてのお話をしていきたいと思います。
感覚遊びと感覚統合
・感覚統合とは
自己の身体及び環境からの感覚刺激を組織化し、環境の中で身体を効率よく使用することを可能にする神経学的プロセスと言われています。例で示しますと、下記のようになります。
1.視覚情報による周囲の状況把握…目の動き
↓
2.物にぶつかりそうになると身体を傾けたり、しゃがみ込む…身体命令
↓
3.転ぶことなく避けることができる…姿勢維持/バランス
例では外からの刺激として、まず視覚情報が入力されました。すると、ぶつからない様に運動神経が働き、避けることができます。また、避けた際に転ばないよう、平衡感覚が働きましたね!
このように、一つの感覚刺激から、様々な感覚が働きかけ、身体を動かすことを感覚統合と呼びます。
しかし先ほど述べた通り、感覚統合を行うには土台の感覚が育っていないといけません。そこで感覚遊びというものを行い、土台の感覚を育みます。
・感覚遊びとは
いろいろな感覚を働かせて楽しむ遊びのことを言います。発達が気になるお子様の中には、好みの感覚遊びに没頭して、本来の遊び方と異なる楽しみ方をしている姿を見かけることがあると思います。
また、多動でエネルギッシュなお子様では、単純に体を動かしたり、走り回ったりと、身体に刺激を入れることを楽しむ様子が見られます。
例えば、ボール遊びをしていると、「ボールを転がして遊ぶ」「ボールを投げて遊ぶ」「ボールをけって遊ぶ」「ボールを弾ませて遊ぶ」「ボールに乗って遊ぶ」など、お子様によっていろいろな遊び方をして遊ぶと思います。そしてボールを蹴るの中には「走りながら蹴る」と「ただ蹴るだけ」の2パターンあると思います。
「こんな遊び方があるよ?!」と提案しても遊び方を変えることなく遊び続けることが感覚のこだわりのうちの一つで、それぞれの遊び方で感覚の入力を行っています。この好みの感覚で遊ぶことを感覚遊びと言います。
いろいろな感覚入力を経験することで、感覚統合も促せるので、外での遊び、中での遊び、それぞれの良さを経験できるような環境を作っていけると良いと思います。
最後に
いろいろな感覚を経験していくうちに、感覚統合は進んだり、慣れが生じ不快な感覚が減っていくことがあると思います。走り回るのは危ないことですが、感覚入力を自分で促して感覚統合を少しずつ行っているのかもしれません。だらしがない行動や危険を伴う行動も、実は感覚遊びで行っているかもしれません。安全な環境下では、お子様の好きなように遊んでいる姿も見守ってあげてください。
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