『トークン法』について
こんにちは。オレンジスクール小岩第2教室です。
日に日に寒さが増して気がつけば日脚がめっきり早くなり、冬の訪れを感じますが、いかがお過ごしでしょうか。
皆様は、日々、お子様の様々な言動に対して、
「こんな言動は絶対にしてほしくない。やめてほしい」
と思うことはありませんか?
効果的に注意を促す方法は難しく、逆効果になってしまうこともあるかもしれません。
今回は、お子様にしてほしくない言動を少なくし、好ましい言動を増やすための効果的な方法の一つとして、 応用行動分析における『トークン法』という技法についてお話させていただきます。
『トークン』とは?
『トークン』とは『代用通貨』という意味です。ポイントカードや商品レビューへの対価として様々な特典がつくことなどが『トークン』の身近な例として挙げられます。
商品購入でもらえるポイントをためると、ポイントに応じた金額の買い物ができ、それが嬉しくてポイントをためるためにまた同じ店で買い物をしようと意識した経験がある方も少なくはないと思います。
この心理を応用し、目標を設定して取り組んでお子様がその目標を達成したらスタンプやシールなどの『トークン』を渡し、ポイントがたまり次第『ご褒美』を与えることにより、よい行動を増やしていくのが『トークン法』の考え方です。
『トークン法』の具体的な取り組み方は、以下の流れで行います。
◎お子様に提案・説明する
◎対象となる行動や期間・回数などの目標を設定する
◎ポイントとご褒美を決める
◎実行する
◎できたらおおいに喜び褒める&ポイントをあげる
◎たまったポイントに応じたご褒美を授ける
それでは各項目ごとに見ていきたいと思います。
お子様に提案・説明する
最初に、わかりやすく説明することが重要です。
・「夕飯の時間になった時に遊ぶのを切り上げてお片付けてしてくれたら、1ポイントとしてスタンプを押そう。スタンプがたまったらご褒美と交換できる、っていうチャレンジ、やってみない?」
・「『ちくちく言葉』のかわりに『ふんわり言葉』で伝えられたら、花丸をカードに書こう。花丸がたまったら、ご褒美のシールをあげるよ!」
などというように、楽しく誘う形で提案すると受け入れやすいです。
期間・回数などの目標の設定
いつまでに何をどのように達成するかという目標を定めます。 例として、
・「夕飯開始の5分前までにする? それとも夕飯は大体〇時くらいだから、毎日〇時までに片付けることにしようか?」
・「使ったものを箱にしまうところまでがお片付けだね」
・「まずは5日間から試してみよう」
・「最初は、ポイントが5個たまったらご褒美と交換、っていうのはどうだろう?」
というように、お子様と一緒に目標を設定していきます。
こちらからの押し付けになっては効果を発揮しにくいですので、ここは慎重に話し合いをします。
最初のうちは期間を短めに設定し、少ない回数を設定すると、すぐに頑張った成果が出てご褒美をもらえるため、効果を実感しやすくやる気に繋がります。
ポイントとご褒美を決める
・「夕飯の前までに遊びを切り上げて片付けできたら1ポイントでどう? シールとスタンプどっちがいい?」
・「スタンプは〇〇のと△△、どんなのがいいかな?」
・「じゃあ今度、一緒に〇〇のスタンプを買いにいこうね!」
というように、お子様が楽しく主体的に取り組めるように気持ちを盛り上げていくと効果的です。
ポイントをためると獲得できるご褒美も話し合って決めますが、アイス、お菓子などの物だけではなく、お子様のやりたいことや行きたい場所などの『体験』をご褒美にすることも、ワクワク感が高まり楽しいのでおすすめです。
このタイミングで同時にポイントをつけるシートを用意します。『トークン ポイント表』などとインターネットで検索すると、たくさんの可愛らしいシートがありますし、もっと簡素なものでも何でも大丈夫です。
これもお子様の好きなものを一緒に選ぶようにすると、一緒に取り組めるので良いかもしれません。
実行する
シートは見える場所に置いておき、すぐに取り出してポイントをあげられるようにしておきます。
最初のうちは多少の声掛けをしてももちろんよいのですが、すぐにお子様が自ら意識して行動できるように変化していきます。
できたらおおいに喜び褒める&ポイントをあげる
筆者個人の経験からすると、ここが一番意味のある重要な所なのではないかと感じています。
お子様が意識をして行動できた時に、かかわりを持つ養育者(あるいは保護者)が「頑張ったね!やったね!」とポジティブな声掛けをして一緒に喜びながら褒めることが習慣になると、お子様の成長・変化に注目するようになります。すると、あんなに気を揉んでいたお子様の望ましくない行動が気にならなくなってくるのです。
ネガティブな注意は、注意を受ける側のお子様はもちろんのこと、注意をする側の養育者にも多大なるストレスがかかります。関係性も悪化してしまいがちで、お互いにつらい心境に陥ることにもなりかねません。ところが、トークンをあげるために良いところに着目する癖がつくと、養育者が最小限の注意をするだけでお子様が行動してくれることが増えるので注意そのものの回数も減るようになり、双方ともに精神的に楽になります。
『褒める』ということは『頑張りを認める』ことです。
お子様としても、自分の成長が『シール』や『スタンプ』などの目に見えてわかるポイントとして溜まっていくので頑張りの実感が得られやすく、自信がわいてきます。何よりも、
頑張りを認めて一緒に喜んでくれる存在がいることで、さらなるやる気へと繋がっていくのです。
また、たとえお子様の望ましい行動が出てこなかったとしても、叱ったり責めたりはせずに見守る辛抱強さも必要です。
お子様が望ましい行動を自ら行うまで待ち、実行した時にはすかさず褒めて一緒に喜びながらポイントをあげるようにします。
行動できたら時間をおかずにすぐにポイントをあげると『良き行動』をより強く意識づけることになります。
たまったポイントに応じたご褒美を授ける
望ましい行動を取ることを重ねた結果、たまったポイントに応じて、あらかじめ決めておいたご褒美を授けます。
ただし、ポイントが溜まっていないのに『おまけ』と称してご褒美をあげてしまうと、効果が半減してしまいます。
あくまでも『良い行動を積み重ねてポイントをためた結果としてご褒美がもらえた』という形にしないと、ただ目の前のご褒美目当てのもので終わってしまうからです。
一過性ではなく長期的にみて『良い行動の持続を促す』ことを続けていき、やがてお子様が『良き行動を取ったほうが心地よい』とご自分で気づくことができれば、いずれご褒美がなくとも自主的に動けるようになります。
おわりに
取り組むのに少しの手間と根気がいりますが、お子様の行動をよりよいものに変化させていくだけでなく、お子様の育ちを共にする大人の心の落ち着きを取り戻す機会にもなり得る『トークン法』。試してみてはいかがでしょうか。
オレンジスクール小岩第2教室では、児童の望ましい行動を増やせるようサポートを行っています。
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