書字について【動かす力】
前回に引き続き、書字に必要な力の第4弾です。
今回は【動かす力】についてお話させていただきます。
動かす力とは
- ボディーイメージ…自分の体がどんな動きができているのか、体の大きさはどれくらいなのかイメージでき、無意識に体を思い通りに動かせる力を指します。また、自分の体の上下左右が認識できる力も重要です。
- 手指の器用さ…手指の力の調整や操作などのことです。鉛筆を正しく持ったり、上手に運筆するために必要な力です。子どもの発達は粗大運動から微細運動への一定の流れや順序性があるため、運動機能の基盤である粗大運動が育っていることも必要です。
- 目と手の協応動作…目で捉えた情報と手や体の動きを連動させる能力のことを指します。
書字の練習において
①目で見て覚える
②空中で手を動かして覚える
③紙の上で手を動かして覚える
以上の方法の中から一番効果があるとされているのは③です。
視覚のみでなく、体性感覚(触る感覚と運動の感覚)を用いることで文字学習がしやすくなります。
動かす力が育っていないと
〇なぞり書きでガイドラインからはみ出す
→手先の不器用さや目と手の協応動作が難しいと考えられます。
指先の巧緻性を高めるトレーニングや目と手の協応動作へ働きかけるトレーニングのほか、“失敗した”と感じ、書くことへの意欲が低下しないよう、ガイドラインが太めのプリントを用意することも大切です。
〇手指の力の調整が難しく、筆圧が弱い
→手指の筋緊張が低く、指先の握りが弱いことが考えられます。
ぐらつきがある場合には、その子に合った形や太さのクレヨンや鉛筆を持たせ、場合によっては鉛筆ホルダーを用意します。
また、手先の力調整や巧緻性を高めるため“つかむ・引っ張る・動かす・離す”等の練習もします。
動かす力に着目した支援
〇鉛筆の持ち方
親指・人差し・指中指の3方向から支え持つのが正しい持ち方です。
三角鉛筆は3本の指がぴったりとフィットするため、持ち方を安定させるとともに、体性感覚情報を感じやすくするために適しています。
〇鉛筆を持つ力(力加減)
鉛筆を強く握りすぎてしまったり、逆に握りが弱いことは、書字をするうえでマイナスに作用します。
握りが強いと、筋肉に力が入りすぎて過剰に収縮しているため、指先や肘、肩をどちらの方向に動かしているのか感じ取りにくいです。強く握りすぎている子の中には、鉛筆ではなく指で書いた方が覚えやすい場合もあります。広げた砂やクリームに指で文字を書く方法は、鉛筆を握らないため余分な力が抜け、動かす方向が感じ取りやすくなります。また、ホワイトボードは鉛筆に比べ抵抗が少ないため、力を入れすぎずに書くことができます。
反対に握りが弱いと、筋肉の収縮がしにくく、運動感覚を感じ取りにくいです。そのため、紙からの抵抗感をより感じとりやすいようクレヨンを使ったり、紙の下にダンボールやヤスリを敷いて、書く動作に、より強い抵抗をかける配慮をします。
不器用で運動コントロールが難しく、書いている線を止めたり、方向を切り替えたりすることが難しい子にも有効とされています。
〇繰り返し学習
文字学習は運動学習の要素を含んでいるため、同じ運動を繰り返すことが重要です。
文字のキレイさや癖は個人差がありますが、同じ文字を繰り返し練習しても、書くにつれてだんだん形が崩れていく子や、別の人が書いたように見える子がいます。同じ文字を10回書かせても10個の文字の形やバランスが異なっていれば、繰り返し書いたに関わらず、運動学習になっていないことを意味します。
量ではなく文字の形やバランス等が安定した文字を書くこと、“質”がなにより大切になってきます。
動かす力を育てる遊び
〇振る(握る・持つの持続)‥マラカスや鈴など音のなるオモチャ
〇押す(自分を中心とする外向きの方向への意識)‥おままごとの野菜切り・レジスター玩具や電気などのスイッチ・ホッチキスや型穴あけパッチンを使った工作・洗濯ばさみ・スナップボタン・トンカチ大工さん・ボール転がし・粘土
〇引く(自分の方に直線的に引き寄せる)‥紐通し・綱引き
〇めくる(手首を返す)‥布や絵本、トランプなどのカードゲーム・お手玉
〇置く‥マグネット・シール貼り・積み木
〇回す(把持したまま、円の始点から終点まで繰り返し動かす)‥ペットボトルのふた・ハンドル・大工さんねじ回し
〇合わせる(2つの凹凸がピタッと合わさる)‥型はめ・パズル・ブロック・プラレールの線路・折り紙
〇通す(つまんで)‥紐通し・ボタン
〇なぞる(対象物に自分の動きを合わせる)‥溝をなぞる・線をなぞる・はさみで切る・折り紙の点線で折る・スプーンですくう・ぬりえ
書字には、まず指先を自由に動かす力を身につけなければなりません。小さい時から、様々な遊びを通して、感覚・視覚認知・空間認知・方向性理解・手の操作性を学んでいきます。動作の先に、「おもしろい!楽しい!」の発見ができるよう、一人ひとりの運動機能の発達段階を見て、その子に合った支援を行っていきます。
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